2016.06.10
生物は海で生まれたといわれています。
生物体に不可欠な基本物質が水であることを考えると納得できる話です。
海で生まれた生物が、その後陸にも生息するようになっていきました。
陸で生きるために備えなければならない要素の一つが、体の乾燥防止と病気から守る免疫のシステムです。
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私は、生物進化の中で備えられた体の乾燥防止と病気から守る免疫のシステムに着目してスキンケアの追究をしてきておりますが、その原点ともいえるクチクラ層(cuticle layer)に注目しています。
クチクラ層とは、表皮を構成する細胞が、その外側に分泌することで生じる膜のことです。
クチクラ層は、一般的に動植物の表面を覆う層で、水分の蒸発を防いだり体の内部の保護の役割を果たしています。
人間にとって、クチクラ層に相当しているのが皮脂膜です。
皮脂膜の主成分が両親媒性の脂肪酸系脂質であり、次いでの成分が水の性質を持たない炭化水素系脂質です。
植物や昆虫などのクチクラ層の主成分は炭化水素系脂質から成っています。
植物の葉が光って見えるのは、クチクラ層による反射によるものであり、照葉樹林の語源は表面が照って見えることに由来しています。
※両親媒性分子(amphiphilic molecule)
1つの分子内に、水になじむ「親水基」と油になじむ「親油基」(疎水基)の両方を持つ分子の総称です。
人間を含む生物は、水および親水性物質と親油性(疎水性)物質から成り立っていますが、そのかすがいの役割をしているのが、脂肪酸系脂質を代表とする両親媒性物質です。
産業分野で利用されている両親媒性物質を界面活性剤と称しています。
(株)構造機能科学研究所
鈴木 正夫