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※赤字の日はお休みさせていただきます。
以前の記事『スキンバリア(1):クチクラ層』において、海で生まれた生物が陸に生息するようになってまず備えなければならないのは、体の乾燥防止と病気から守る免疫のシステムであることを述べました。
表皮を構成する細胞がその外側に分泌することで体の最表面でその働きをしているのが、一般の動植物では「クチクラ層」、人間にとってクチクラ層に相当しているのが皮脂膜です。
今回は、皮脂膜と皮膚常在菌の相互関係についてご案内いたします。
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皆さんは、皮膚表面に存在する菌はばい菌(悪玉菌)ばかりと思っておられませんか?
腸については善玉菌が重要であることは常識になっていますが、皮膚においても常在菌は重要な働きをしているのです。
皮膚は階層構造に成っており、皮膚の最表面に位置しているのが皮脂膜です。
皮脂膜は皮膚表面を覆っている薄い油膜であり、主成分は脂肪酸系脂質です。次に多いのが炭化水素系脂質です。
皮膚本来の脂質代謝に基づいて形成される正常な皮脂膜には、約200種・1兆個の皮膚常在菌が共生して皮膚フローラを形成して、スキンバリアの最前線として異物・雑菌・紫外線などの刺激・攻撃から護っています。
皮脂は皮脂腺から1日に1~3gが皮膚表面に分泌され、皮膚常在菌(アクネス菌など)の作用を受けます。このアクネス菌の皮脂に対する作用は、皮脂がスキンバリアの最前線として役割を果たすために、不可欠な意味を有しています。
1点目は、皮脂の酸性化作用です。
皮脂腺から分泌される皮脂は、tri-acylglycerol(脂肪)を主成分とする脂質混合物であり、その性質は中性です。
アクネス菌の作用により、tri-acylglycerolが加水分解を受けて脂肪酸が産生され、pH5前後の弱酸性になります。有害な雑菌やウィルス等微生物は酸性を嫌いますので、脂肪酸酸性の皮脂膜は有力なバリアになります。
2点目は、皮脂の両親媒性化作用です。
皮脂腺から分泌される皮脂は、疎水性であり、tri-acylglycerolは球状分子であるために膜形成能が低い脂質混合物です。
しかし、tri-acylglycerolがアクネス菌の作用によって加水分解を受けて産生される脂肪酸や、mono-acylglycerolおよびdi-acylglycerolは、分子中に親水基と疎水基を有する構造、すなわち両親媒性分子です。
Acyl基の同じ両親媒性分子は、凝集能と分子配向性が高く、秩序の整ったきれいな膜を形成します。
分子種と構造の整った皮脂膜は、表皮細胞のターンオーバーを整えて皮膚をしなやかにする(エモリエント作用)結果、身体の内部から角質層の潤いを助長します。
正常な皮脂膜には、アクネス菌だけではなく有害な菌が皮膚に侵入するのを防いでくれるエピデルミディス菌(表皮ブドウ球菌)など菌の種類と数のバランスが整い、スキンバリアとして重要な役割を果たしています。
構造機能科学研究所では、「皮脂膜を生かすことによって皮膚本来の代謝と機能の発現を助長し、すこやかに美しい肌を実現するスキンケア」を追究しています。
(株)構造機能科学研究所
鈴木 正夫