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※赤字の日はお休みさせていただきます。
先にご案内しました「子どもの食物アレルギーの新常識」(NHK Eテレ)をご覧いただいた皆様からご質問をいただいておりますが、今回はその中から以下のご質問についてお答えいたします。
Q1.衛生的で栄養豊かになった現代生活において、なぜアレルギーが増えてきたのでしょうか?
…続きを読む…
A.答は、世界の医学界がアレルギー増加の原因を間違えて対応してきたことにあります。
アレルギー増加の理由として、腸から吸収された食べ物が感作を惹起して始まっていると言う「食べ物に起因する経腸感作説」の下に、食物制限をすることによってアレルギーの治療や予防が行われてきました。
しかし、食物制限によるアレルギーの治療や予防の効果は無く、逆にアレルギーを増やすことが明らかになっています。
経腸感作説が否定される中、食べ物等のアレルゲンが皮膚から体内に入って感作を惹起すると言う考え方「経皮感作」が医学的にも実証されて注目されています。
アレルギーの治療や予防の最新の考え方は、「経皮感作」を防止できる適切なスキンケアを事前に行うことを前提として、乳幼児にいろいろな食べ物を早期から摂取することが推奨されています。
この事についての国立成育医療研究センター等の記事をご参照ください。
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/allergy/about_allergy.html
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_357.html
https://www.sukusuku.com/contents/142062
以下、解説です。
アレルギーは、アレルゲンが体内に入り免疫によってアレルゲンとして認識されること「感作」が始まりです。
アレルギー増加の原因として最も有力視されてきたのが、食べ物がアレルゲンとなって腸から吸収されて感作を惹起してアレルギーが始まっているとする考え方「食べ物に起因する経腸感作説」でした。
この考え方が有力視された理由は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーは乳幼児に多く、乳幼児は腸が未成熟であるために食べ物を消化不十分な状態で吸収されて感作源となっていると考えられていたからです。
先ず食物アレルギーを発症して、次いでアトピー性皮膚炎を発症すると考えられてきました。
この「食べ物に起因する経腸感作説」に基づいて、乳幼児と母親を対象にして多くの研究が行われてきました。
その多くは、アレルゲンと考えられる食べ物を制限することでしたが、「食べ物に起因する経腸感作説」を肯定する結果は得られず、食べ物を制限すると逆にアレルギーが増加することが解りました。
主な研究事例と結果を以下に示します。
◎経胎盤説
赤ちゃんは生まれるまではお母さんの血液から栄養をもらって成長します。そこでお母さんが食べているものを通してお腹の中にいる間にアレルギーが生じるのではと考え、お母さんの食べ物からアレルギーになりそうな物を抜いて予防できないかと研究されました。
しかし、妊娠中に食事制限をしても予防効果はないことがわかりました。
◎経母乳説
お母さんのお乳にアレルゲンが入っているとアレルギーになるのではと考え、授乳中のお母さんの食べ物から母親のアレルゲンを抜いてみました。
しかし、これも予防効果が無いことがわかりました。
◎経腸管説
さらに赤ちゃんの腸は成長とともにしっかりしてくるはずだから、離乳食の開始を遅らせるとアレルギーを減らせるのではと疫学調査やモデル実験が行われました。
しかし、結果は離乳食の開始を遅らせると返って食物アレルギーは増えてしまったのです。
「食べ物に起因する経腸感作説」が否定されて、アレルギー増加の原因が模索される中、新たに登場してきた考え方が「経皮感作」です。
「経皮感作」とは、食べ物等のアレルゲンが皮膚から体内に入り、感作を惹起してアレルギーが始まるとする考え方です。
「経皮感作」の可能性を医師として初めて提唱したのが、ロンドン大学小児アレルギー科の臨床医「ギデオン・ラック教授」です。
ラック教授は、アレルギー臨床医として自らの経験と疫学調査の結果から、「二重抗原暴露仮説」を2008年に発表しました。
「二重抗原暴露仮説」とは、食べ物を経口摂取した場合には免疫寛容が助長されて免疫力が調うのに対して、食べ物が皮膚から入った場合にはアレルギーを惹起すると言う考え方です。
ギデオン・ラック教授は次のように述べています。
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アレルゲンが先に、腸に入るか、あるいは皮膚から入るか、それがアレルギーになるか否かを左右する。先に腸から吸収できれば免疫細胞の攻撃を止める働きを持つ制御性T細胞(略称Treg/Tレグ)が作られてアレルギー予防になる。でも先に皮膚から入れば攻撃対象として記憶してしまうと考えられる。
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「二重抗原暴露仮説」が発表された当初は、この斬新な考え方も単なる「ひとつの仮説」程度として受けとめられていました。
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これ以降の説明は、次回の質問にお答する中で解説いたします。
(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫