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※赤字の日はお休みさせていただきます。
今回も引き続き、皆様とのQ&Aをご案内いたします。
Q:
免疫のことは、以前から重要であると思っているのですが、難しいのでこれまでは深く理解しようと思うことなく今になっています。
しかし、コロナ禍に遭遇して、免疫に基づくセルフメディケーションの重要性を痛感しています。
免疫のことやアレルギーの始まりとして注目されている経皮感作のことを分り易く教えてください。
A:
命と健康の守り「免疫」は、胎児の時に育まれる「自然免疫」と、生後の生活環境の中で体得される「獲得免疫」に分類されます。
生後数年は免疫システムが形成される時期ですので、生活環境が重要になります。
…続きを読む…
一般に表現されている「免疫力」とは、「自然免疫+獲得免疫」のことです。
免疫は、強すぎても弱すぎても健康上の問題を生じます。大事なことは、自然免疫と獲得免疫の強さが適度であり、そのバランスも重要と考えられています。
自然免疫と獲得免疫の強度バランスの変化が原因ではないかと考えられた例として、アレルギー増加の理由として想定された衛生仮説(Th1/Th2バランス)があります。
衛生仮説とは、現代生活になって自然との触れ合いが減少すると同時に衛生指向が強まり、細菌等微生物に暴露する機会が少なくなる結果として、自然免疫系に作用するTh1細胞が減少する。
その結果、Th1細胞と拮抗関係にありアレルギー発症の原因にもなる獲得免疫系に作用するTh2細胞が相対的に優位になる結果、アレルギーが増えたのではないか、と考えられました。
しかし、アレルギー増加の主因が経皮感作にあることが明らかになった今日では、「衛生仮説」はフェードアウトしてきています。
免疫に基因する2大疾病がアレルギーと感染症です。
アレルギーと感染症を惹起する原因「抗原/アレルゲン」は、アレルギーでは「蛋白系物質」であり、感染症では「ウイルスや細菌等の病原体」です。
乳幼児にアレルギーが多いのは獲得免疫が脆弱であるためであり、高齢者に感染症や癌が多いのは免疫力の低下が原因ですが特に自然免疫の低下が主な原因になっています。
表皮は「露出した脳/皮脳同根」(NHKは「皮膚は脳のゼロ番地」と表現しています)、腸は第2の脳と表現されており、皮膚・腸・脳が密接にリンクして心身の健康をコントロールしていることが明らかになってきています。
皮膚と腸が密接にリンクしている典型的な例として、経皮感作された食物抗原は、高率で食物アレルギーを惹起していることが挙げられます。
代表的な実例が、泡立ちや保湿効果を高める目的で小麦成分を入れた石鹸です(2009年)。
この石鹸を使った人に、小麦食物アレルギーが多発しました。
小麦食物アレルギーは、今では、乳幼児から大人までの食物アレルギーの上位を占めています。
従来は「食品由来のスキンケアならば安心」と考える人が多かったのですが、経皮感作がアレルギーの主な導入口になっていることが明らかになって以来、「食品由来のスキンケアに注意」と喚起されています。
経皮感作研究の先駆者であるロンドン大学小児アレルギー科の臨床医「ギデオン・ラック教授」は次のように述べています。
「アレルゲンが先に、腸に入るか、あるいは皮膚から入るか、それがアレルギーになるか否かを左右する。
先に腸から吸収できれば免疫細胞の攻撃を止める働きを持つ制御性T細胞(略称Treg/Tレグ)が作られてアレルギー予防になる。しかし先に皮膚から入れば攻撃対象として記憶してしまうと考えられる。」
このことを裏付ける実験を兵庫医科大学の善本知広教授が行っています。
「肌荒れを起したネズミの皮膚に卵白を塗り、皮膚内部へと浸透させる。その後にネズミに卵白を食べさせると、ネズミは激しいアナフィラキシーショックを起こした。しかし、卵白を先に食べさせておいてから、皮膚から卵白を浸透させた場合は、ネズミに再度卵白を食べさせても起きなかった。しかも、制御性T細胞が増加していた。」
ラック教授の考えに加えて、私は次のように考えています。
「アレルゲンとなるのは、アミノ酸が5-6個以上結合したペプチド等の蛋白由来物質です。経口摂取した食べ物は、腸で吸収できるサイズにまで分解(消化)され、抗原活性が無くなります。
しかし、経皮吸収された食べ物は、皮膚には消化作用が無いために抗原活性を保持したまま血中に乗り全身を駆け巡る。皮膚・腸・脳相関が高いので、経皮感作を受けた食物抗原は、高率で食物アレルギーを惹起すると考えています。」
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(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫