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※赤字の日はお休みさせていただきます。
治療から予防へ(セルフメディケーション)
17.超分子・生命の階層構造・ウイルス
先の「RIMスキンケアニュース」No.15・16において、ウイルスは生物と物質の間に位置する物体であり、その性質は「超分子」として捉えると合点がいくことを述べました。
読者の方々から「そこのところを詳しく!」とのご要望をいただきましたので、説明を加えさせていただきます。
■超分子
「超分子」とは、生命科学・医科学・化学の分野で用いられている用語であり、「自己組織化能を有する分子集合体」のことです。
「自己組織化能」とは「環境に適応して構造と機能を自ら制御する機能」を意味します。
■生命の階層
生物と物質の関係(階層)は、従来は次のように表されていました。
①物質「原子、分子」/無細胞階層、前細胞階層
②細胞(命)/生物の基本的構成体、生命の最小単位
③組織、器官/超細胞階層、多細胞階層
④生物/細胞1個以上からなる機能的集合体
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①物質と②細胞の間には、命存在の有無のブレイクスルーがありますが、従来は「命の神秘」として扱われてきていました。
しかし、分子科学の観点から生命科学を追究する生命分子科学者は、細胞(命)は物質の階層構造(部品)から成っていることから、細胞の部品となっている特有の構造や機能を有する物質集合体を「超分子(Supramolecule)」として発展させてきています。
超分子を一つの階層とする「生命の階層」は、次のようになります。
①物質⇒②超分子⇒③細胞(命)⇒④組織、器官⇒⑤生物
■ウイルス(virus)
「生物」の定義は、「細胞を基本構造単位として、自己複製ができるもの」とされています。
細胞の基本となる構造と機能は次の通りです。
・リン脂質二重層の細胞膜で囲まれている。
・核酸(DNA・RNA)を有する。
・核酸の遺伝情報から自らリボソームというタンパク質合成装置を作り、タンパク質を合成できる。
・そのタンパク質や取り込んだ物質を反応させて自分に必要な物質を生み出す様々な反応系(代謝系)をもつ。
・自己複製や新たな機能を有する細胞を産生(分化誘導)することができる。
一方、「ウイルス」は、生物の最小単位である細胞の一部の構造しか有していません。換言すると、ウイルスは細胞の部品でしかないのです。
このことが、「ウイルスは生物ではない」と言われる所以です。
生物を構成している細胞や組織・器官の部品となっている物質集合体のことを、私は「超分子」と捉えています。
細胞は簡単には変異しないのですが、ウイルスは変異しやすいのが特徴です。
ウイルスを超分子として捉えると、「環境に適応して構造と機能を自ら制御する機能」を有しているので、環境変化に対応して変異を起こすことは当然のこととして理解できます。
細胞の部品であるウイルスは、独立して生きながらえることはできず、自己複製もできません。
そこで、ウイルスは他の生物の細胞(宿主)に潜り込んで、宿主細胞の機能を利用してどんどん自己複製(増殖)を行います。
宿主となっている生物自体が死んでしまうと、間借りしているウイルス自体も死んでしまいますので、早く他の個体に移さなければなりません。
感染の拡散です。
ウイルスが感染できる細胞は、ウイルスの種類によって限定されています。
[1]Solomon, Berg & Martin 2002, pp.9-10
(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫