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※赤字の日はお休みさせていただきます。
今回は、ロレンツォの病気「副腎白質ジストロフィー adrenoleukodysprophy(ALD)」の病態、その治療薬として両親が開発した「ロレンツォのオイル(Lorenzo's Oil)」の成分と機能、ロレンツォのその後についてご紹介いたします。
◆「副腎白質ジストロフィー adrenoleukodysprophy(ALD)の病態
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ALDは、極めて珍しい遺伝性の難病です。脂肪酸の代謝異常によって、脳に長鎖飽和脂肪酸(炭素数24~26)が蓄積し、これがミエリン(神経を保護する鞘状の層)を破壊して脳にダメージを与える病気です。
X染色体の異常によって発生する遺伝病であるために、通常男の子だけに発生します。
5歳前後で発症し、体の麻痺などを伴って多くは2年以内に死亡します。
◆「ロレンツォのオイル(Lorenzo's Oil)」の成分と機能
成分は、cis型二重結合を一つ持つ炭素数18のオレイン酸と炭素数22のエルカ酸の4:1の混合物です(正確には脂肪酸そのものではなく、脂肪酸3分子がグリセロールに結合したトリアシルグリセロールです)。
この混合オイルは、ミエリンに対して有害な炭素数24・26の長鎖脂肪酸に近い炭素数を有していますが体に害を与えません。このオイルを与えることによって「今は十分な長鎖脂肪酸がある」と酵素を錯覚させて、それ以上有害な脂肪酸を合成させなくするというのが「ロレンツォのオイル」の原理です。
当初よりその効果を疑う声がありましたので、その後「ロレンツォのオイル」の効果が検証され、2005年にその結果が発表されました。
その結果によると、オイル投与患者は明らかに予後が良く、早期に投与を開始すればかなりの割合で症状の進行を止められるという結論です。
◆ロレンツォのその後
5歳でALDを発症したロレンツォが亡くなったのは30歳です。
死因は誤嚥性肺炎であり、直接ALDではなかったようです。
オイルの投与が遅れたこともあって、ロレンツォが最後まで全身麻痺状態から脱することはできませんでしたので、「ロレンツォのオイル」は特効薬ではありませんが、ほとんどのALD患者が2年ほどで亡くなる中で30歳まで生きていたことも事実です。
私は「ロレンツォのオイル」との関わりを通して、体の護りの主役は脂肪酸系脂質であることを深く認識し、スキンバリアの主役として「皮脂膜」を生かすことが「経皮感作」の予防や改善への鍵になるのではないかと考えて構造機能科学研究所設立の決意をしました。
(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫