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※赤字の日はお休みさせていただきます。
治療から予防へ(セルフメディケーション)
8.胎児の免疫
免疫は健康の基本であることから、様々な分野からアプローチされています。
私の場合は、アレルギー急増の原因追究とアレルギー予防の観点から、また科学・技術面では「生体分子⇒超分子⇒細胞⇒免疫細胞」の観点から、免疫を追究してきています。
免疫は、奥が深く難解で未知な部分も多いことから、普段はあまり気にしていないというのが多くの方々の実情ではないかと思います。
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しかし、最近登場している新薬には免疫関連が多く、新型コロナウイルス(COVID-19)に対する防御や予防医療の観点からも、免疫に対する知識の必要性が高まっています。
免疫に対する私の強い関心は、先天性免疫「自然免疫」と後天性免疫「獲得免疫」の成り立ちです。
いずれも未知の部分が多いのですが、「獲得免疫」については生活環境に基づく体験に基づいているので理解しやすいように思っています。
一方、「自然免疫」については、受精・妊娠・胎児の過程でどのようになっているのか、アレルギー素因に遺伝子が関わっているのか、などについて知りたいと思ってきております。
そのような中、「胎児の免疫」、「胎児を拒絶しない免疫機構」について知見を得ましたので、今回は「胎児の免疫」についてご紹介いたします。
「胎児を拒絶しない免疫機構」については次回ご紹介いたします。
「胎児の免疫」の論文では、ヒトの免疫系は、これまで考えられていたよりかなり早い時期に子宮内で成熟していることを示唆しています。
この新知見は、免疫系の発生に関する現在の理解に変更を加えるものであり、妊娠糖尿病、反復性自然流産といった特定の妊娠関連疾患に関する手掛かりとなる可能性もあります。
以下に要旨をご紹介いたします。
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【免疫】ヒトの免疫系は早い時期に子宮内で成熟している
Immunology: Human immune system matures in the womb
Nature June 15, 2017
https://www.natureasia.com/en/clinical/research/11944
発生中のヒト胎児は、免疫系を活性化させる可能性のある多様な分子(例えば、微生物や食物粒子)にさらされる。
今回、Florent Ginhouxたちの研究グループは、妊娠中絶が臨床的に必要となった妊娠中期(妊娠14~22週)の胎児96例の組織を採取して調べ、最も早くて妊娠中期の胎児に免疫学的に活性な細胞が存在していることを明らかにした。
この胎児の樹状細胞は、病原体を感知するとともにT細胞を刺激でき、免疫応答を開始させる能力を有していることが示された。
ところが、この樹状細胞は、抗原にさらされると、全く逆の作用をして、免疫応答を抑制する一部のT細胞の活性を刺激した。
今回の研究結果は、ヒト胎児には免疫応答を開始させる能力が備わっていないという定説に疑問を投げかけており、この期間中に起こることが良く知られた免疫寛容を説明するためにも役立つ。
また、今回の結果は、子宮内幹細胞移植のタイミングの目安として役立つ可能性もある。
子宮内幹細胞移植は、免疫欠如、代謝異常などさまざまな疾患の治療処置となる可能性を秘めている。
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(株)構造機能科学研究所
代表取締役 鈴木 正夫